菊地にこう言われた、初代様たちは、その翌日から買って買って、買いまくりました。それまで初代様は、満州大豆を100斤(60kg)当たり7円80銭で先売りしていたのですが、反対に買い越したわけです。
ところが佐藤の言ったことはものの見事にはずれ、毎日だらだらと安くなるばかりです。そして、とうとう7円60銭にまで下がってしまいました。
このままでは、初代様たちは大損害を被ってしまいます。あわてた初代様も亀田屋も、佐藤にくってかかり、
「君さえ、あんなことを言わなかったら、儲かっているものを!」
とぐちを言いました。ところが佐藤はキョトンとして、
「私はあの時、そんなことを言ったかしら?」
と答えるものですから、らちがあきません。しかたがないので、初代様と亀田屋は、毎晩菊地のところへ行き、これからの策を相談しました。
ところが、「買え」と言った菊地も、「そうかなあー」とか「なるほどねー」などと、あいまいな言葉を繰り返すばかりで、見込みも方針もいっこうに立ちません。
状況はますます悪くなるばかりで、毎日悲嘆に暮れていますと、1月末のある日、亀田屋が、ふところから佐藤が相場を告げた時に書き留めた紙を取り出して、それを見ながら、
「これには、7円60銭以下はないと書いてある。だから、市場でこれ以下に商いが行われれば、佐藤の言ったことは本当にうそになるから、しばらく模様を見ようじゃないか」
と言いますので、初代様たちは、しばらく様子をながめることにしました。
ところが佐藤の言ったことはものの見事にはずれ、毎日だらだらと安くなるばかりです。そして、とうとう7円60銭にまで下がってしまいました。
このままでは、初代様たちは大損害を被ってしまいます。あわてた初代様も亀田屋も、佐藤にくってかかり、
「君さえ、あんなことを言わなかったら、儲かっているものを!」
とぐちを言いました。ところが佐藤はキョトンとして、
「私はあの時、そんなことを言ったかしら?」
と答えるものですから、らちがあきません。しかたがないので、初代様と亀田屋は、毎晩菊地のところへ行き、これからの策を相談しました。
ところが、「買え」と言った菊地も、「そうかなあー」とか「なるほどねー」などと、あいまいな言葉を繰り返すばかりで、見込みも方針もいっこうに立ちません。
状況はますます悪くなるばかりで、毎日悲嘆に暮れていますと、1月末のある日、亀田屋が、ふところから佐藤が相場を告げた時に書き留めた紙を取り出して、それを見ながら、
「これには、7円60銭以下はないと書いてある。だから、市場でこれ以下に商いが行われれば、佐藤の言ったことは本当にうそになるから、しばらく模様を見ようじゃないか」
と言いますので、初代様たちは、しばらく様子をながめることにしました。